― 和歌山のホームページ制作会社の制作現場から見たメリットと課題 ―

近年、WordPressはユーザー側・制作会社側の両面で大きな進化を遂げています。
特に注目されているのが、「フルサイト編集(FSE:Full Site Editing、以下FSE)」と「ブロックテーマ」の登場です。
これらによって、WordPressテーマ開発のあり方はどのように変わるのか。
今回は、制作現場の視点からそのメリットと課題を整理し、今後の運用にどう生かすべきかを考えてみたいと思います。
また、WordPressにはもう一つの制作方法として、「ヘッドレス構成(Headless WordPress)」という仕組みもあります。
これは、WordPressを「中身(データ管理)専用」として使い、表示部分を別のシステムや仕組みで構築する方法です。この制作方法で構築すると、表示速度や大規模サイト運用に強いのですが、より専門的な知識や、また保守・運用コストが比較的高くなるため、中小企業や店舗など「自社で簡単に更新したい」ケースにはあまり向かないと弊社では考えております。
弊社のように和歌山で地域企業や店舗様などのホームページ制作を行う現場では、より柔軟で運用しやすい「FSE(フルサイト編集)」、あるいは従来からの制作方法である「PHP+CSSによるクラシック構築」が、現実的な選択肢だと考えています。
今回はその中でも、和歌山でホームページ制作を行う弊社が、WEB制作の現場の実感をもとに、FSE導入のメリット・デメリット、そして導入判断のポイントをもう一度考察してみたいと思います。
FSE、フルサイト編集とは? ― 今までのPHP+CSSの従来テーマとの構造的な違い
FSE(フルサイト編集、Full Site Editing)は、WordPress 6.x 以降で導入された新しいテーマ制作、編集の方式です。
ホームページ全体を各ブロック単位で編集・再構成でき、しかもPHPに触れずにページ全体のデザインや動作をコントロールできます。
従来のPHP+CSSでのテーマ制作の特長
- header.php / footer.php などホームページの構成をPHPで構築
- レイアウト変更は弊社に代表されるような、ホームページ制作会社が対応
- よって、そのホームページの更新には、時間とコストがかかってしまう
FSEを前提としたブロックテーマ
- ホームページの構成要素である、各パーツをブロックで構築
- カラーやフォント、余白などを一元管理できる設定ファイルが用意されている
- 管理画面から直接編集が可能
こういった変化により、ホームページ制作会社にとっては「効率化」、クライアント様にとっては「編集の自由度の向上」という双方にとってのメリットが生まれています。
ホームページ制作現場で感じるFSEのメリット
「FSEって、実際にどんなメリットがあるの?」
制作現場でFSEを導入して感じた具体的な効果を、4つのポイントに整理しました。
●クライアントが“自分で更新できる”仕組み
FSE対応テーマで制作されたホームページでは、テキストや画像、バナーの差し替えが直感的に行えます。
ホームページ運用担当者が自分自身、自社でページを更新できるため、ホームページ制作会社に依頼せずとも、日々の投稿の追加や固定ページの修正等よりも、一歩踏み込んだ保守コストを抑えた柔軟なサイト運営が実現します。
●デザインの統一性を確保しやすい
フルサイト編集では、ホームページ全体のカラーや余白、フォント等をあらかじめルール化して管理・運営ができます。
時としてホームページにページを追加したいなどのご要望があった場合でも、ページを追加する際、設定せずとも自動的に同じデザイン基準が適用されるため、和歌山の中小企業サイトのように複数ページを展開する案件でも、ブランドイメージを崩さず、全体を統一したデザインで維持できます。
●ホームページ制作スピード及び再現性の向上
ホームページ内でよく使うデザイン、パターン(サービス紹介・料金表・リスト表示など)をブロックとして再利用できるため効率的に進行が可能です。これにより小規模〜中規模のコーポレートサイトではより生産性が高まります。
●今後のWordPress標準への対応
ここ数年のWordPressコアの進化方向がFSEになっている以上、WordPress構築においては今後のアップデート対応を考慮するなら、このFSEは避けて通れないとも思っています。
早期にFSE開発に慣れることで、ホームページ制作会社として、保守・アップグレードに幅広く柔軟に対応できるよう、努めていきたいと考えています。
FSE導入における課題と注意点
ただ、FSE導入もデメリットもあり、簡単にホームページ制作を全てFSEにするべきでもないと考えています。
●デザイン表現の自由度に制限
各パーツをブロックで制作するブロックベースゆえに、細かなアニメーションやグリッド調整などが制約を受ける場合があります。
デザイン性の高いホームページや演出重視の制作案件では、従来のPHP+CSSでのクラシックなテーマ構築の方が適している場合もあります。
●既存プラグインの互換性に注意
ACFやフォームプラグインなど、FSE完全対応でないものも存在しますので、ホームページ制作段階において必須のプラグインがある場合は、従来のPHP+CSSでのクラシックなテーマ構築が必要になる場合もあります。
制作導入時は、当然ながら互換性のテストを必ず行うことが推奨され、その分のコストが発生します。
●ホームページ制作段階での学習コストが発生
従来のPHP+CSSでの構成とは異なるため、ブロック構造やJSON設定への理解が必要です。
制作会社での統一的な開発ルールを設けることが必須かと考えます。
●既存テーマからの移行には手間がかかる
従来のPHP+CSSでのクラシックなテーマ構築からFSEへの変更は、構造が大きく異なるため再構築が必要となります。
特に運用中サイトのリニューアルでは、段階的な移行計画が必要となってきます。
まとめ ― 「FSE」は有力な選択肢のひとつ、ただし「すべての答え」ではない
以上、長文とはなりましたが、WordPressの「フルサイト編集(FSE)」は、ホームページ制作会社とクライアント双方に多くのメリットをもたらす、今後のWebサイト構築における重要な進化のひとつだと感じています。
特に、中小企業や店舗など、「自社で運用したい」「更新をスピーディに行いたい」といった方々には相性が良く、また長期的な運用コストの削減にもつながります。
一方で、すべてのホームページ制作案件をFSEで行うのが最適というわけではもちろんありません。
たとえば、以下のようなケースでは従来のPHP+CSSのクラシックテーマ構築が今も有効です。
- デザインや演出を細部まで作り込みたい、こだわりのあるサイト制作案件
- 外部システム連携や特殊なロジックを組み込む必要があるサイト制作案件
- 長期間運用している既存のホームページを段階的にリニューアルしていく場合
上記のように、弊社では、「FSEも従来のテーマ開発も、どちらか一方が優れている、絶対というものではなく、当然ながら、その制作案件の目的・規模・運用体制に応じて柔軟に最適な手法を選択することが大切」だと考えています。
弊社では、WordPressの最新技術であるFSEやブロックテーマを積極的に取り入れながら、一方で従来構築の柔軟さ・拡張性も活かし、お客様にとって最適な方法でホームページ制作を行っています。これからも、WordPressの進化に柔軟に対応しつつ、クライアント様にとって“運用しやすいサイト”を最優先に考えた構築を続けてまいります。
これからも、和歌山の地域企業・店舗など、皆さまの事業を支えるために、
「運用しやすく」「見やすく」「より良い結果を生み出す」
ホームページ制作を日々追求していきたいと考えていますので、ホームページ制作は是非和歌山のホームページ制作会社、株式会社ダススタイルを候補の一つにあげて頂けると幸いです。